hinodaiの日記

主に音楽ゲームの話題を取り扱います。

サービス開始から約4か月経過。音ズレ改善。ヒプマイのリズムゲーはどうなるのか?

※2020年12月現在の状況を踏まえ更新しました。

概要

ヒプノシスマイクについて

www.youtube.com
hypnosismic.com
ラップバトルを題材にした、2.5次元系の音楽プロジェクト「ヒプノシスマイク」。略称はヒプマイ。
その斬新さや音楽性が評価され、公式チャンネルの動画の中には3年で3000万再生を超えるものもある。
スマホ向けアプリ(リズムゲーム)は2020/3/26に、ヒプノシスマイク -Alternative Rap Battle-」
としてリリースされた。(以下、ヒプマイARBと略す。)
ヒプノシスマイク -Alternative Rap Battle-
なお3日後の3/29にAbemaTVでの生ライブ配信*1が行われた。
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↑プレイ画面

2か月半後音ズレ遅延関連のシステム改善

アプリ単体で見た時に問題だった

  • タップしてからタップ音が鳴るまで約0.1秒の遅延があった
    • メニュー選択時もレスポンスが悪いと感じてしまう
  • 曲によってタイミング調整がバラバラだった
  • システムが全体的に不便(後述)

点は2020/6月中旬に数回アップデートがあり、遅延とタイミング調整の不具合が改善、システムもある程度改善された。
リズムゲームとしてお勧めできるレベルになったため、このブログで紹介させていただく。

ヒプマイプロジェクトの特徴

攻撃的なリリック(歌詞)

ラップバトルは格闘技のノリに近く「ラップで相手を負かす=殺す」レベルの考えになっている。そのため乱暴な言葉も結構出る。ヒプマイでも「今日はお前の命日」「便所に流してやるよどこかのディビジョン」等のフレーズが出てくる。アイドル系のプロジェクトではまずありえない。リアルのラップバトルに比べるとマイルドな表現、言葉遣いになっている。

ヒプマイでは特殊なマイクを使用しており、ラップで相手に精神的干渉ができて物理ダメージを与えられる設定だ。ゲーム内では爆発音+相手がひるむ演出が入っている。カードバトルのアニメを思い出す。アニメ版のスタッフにも某カードバトルアニメの関係者が多く参加していた。
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『全滅』『サバイブ』等物騒な単語が…ヒプマイ内のラップバトルのルールは完全に格闘技のルールになっている。ゲーム内に楽曲以外のラップシーンがあるが、ラップの長さは短めだ。

リアルのラップバトル側から見ればヒプマイは行儀よく見え、非現実的な設定のキャラが存在しキャラが立っている点が斬新で、
2.5次元系作品の側から見れば今までにないラップバトルの音楽性(情報量が多い)やディビジョン(ユニット)同士のバトルの過激さが斬新に見えるだろう。
※地域同士の争いになるので「ディビジョン」と表記されることがある。例:イケブクロディビジョン

「MCバトルはヤンキー漫画に近い」というアーティストの意見もあるようです。(Creepy Nuts×木村昴 アニメ『Bラッパーズストリート』にみるHIPHOPの現在地 (youtubeより))
youtu.be

ちなみに実際のラップバトルは、DJが用意したBPM100程度の楽曲を使用、先攻後攻の順番で8or16小節の時間でラップを数セット繰り返す。先攻が楽曲(複数用意されている)や小節の長さ(互いが8小節4回or16×2)を決めることもある。観客の歓声または審査員により勝敗がジャッジされる。
フリースタイルダンジョン*2、UMB*3戦極MCBATTLE*4辺りで検索してみると雰囲気が分かるかと思います。

豪華アーティストが参戦

ラップ界でも有名なアーティストが作詞作曲に関わっている。いくつかアーティストへのインタビュー記事がネット上に存在するため、是非読んでほしい。
www.excite.co.jp
natalie.mu
finders.me
声優やスタッフが本気でヒップホップに取り組んでおり、アーティスト側も自身の持ち味を生かす作詞作曲で応えている印象を受けた。

ヒプマイARBの特徴

楽曲は無条件で解禁。Full版を最大4分割して収録した曲も!?

レベルやシナリオ開放等による制限はなく、最初から全曲全譜面がプレイできる。
2020年7月時点で収録曲数は20曲、分割されたパートを考慮すると35曲存在する。
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All Stars(全4ディビジョン、4*3=12人)全員が参加する曲ではA~Dパートの最大4つに分割して収録している曲がある。例としては、

  • 全員→4ディビジョンから1人ずつラップ→全員 の繰り返し(4人×3パート)
  • 全員→ディビジョン内3人が順番にラップ→全員 の繰り返し(3人×4パート)※ユニット名が表示される

ショートバージョンにしてしまうと贔屓になるキャラ、ディビジョンが出てしまうのでこの手法を取ったのは納得がいく。
ヒプマイプロジェクトはAll Stars楽曲はほぼすべてyoutubeでフルバージョンをPV付きで公開しているので、こういう芸当が出来るのでしょう。プロジェクトの懐の深さに感激感謝したい。
プレイリスト:■Division All Stars(Channelヒプノシスマイクより)

そして、ディビジョン単体(三人一組)の楽曲、ソロ楽曲も分割して複数パートが収録されている。(2020/7/21修正)
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繋いでしまえばほぼフルバージョンになる。太っ腹だなあ、人数が少ないならゲームサイズ一曲分にまとめられるのでは、と最初は思っていたがラップ曲の特性上一人一人のラップの時間が長く、つぎはぎしてまとめることが難しいようだ。

最近購入した「ナイロン ジャパン」内にて声優の木村昴さん(山田一郎役、好良瓶太郎名義で作詞にも参加)がラップ曲について語っていたので、ここで引用する。

ラップの場合にも通常ひとつのヴァースを一人のラッパーが歌い切って、サビがあって次のラッパーが次のヴァースを歌う、というフォーマットがあるんです。でもそのフォーマットには乗らずに、Buster Bros!!!は目まぐるしく言葉をかけあってひとつのヴァースを完成させる、という構成にしたんです。
(ナイロン ジャパン 2020年8月号より)

各ディビジョンの3人がラップする楽曲はどれも、約30~40秒のヴァースと約20秒のサビを繰り返す展開になっている。アイドル系の楽曲の様にパートが目まぐるしく変わるわけでは無い。
※ここは後で棒グラフか何かで可視化したいと思います

後続する2.5次元系プロジェクトも気を付けないといけない。ヒプマイARBの様に分割収録するか、ゲームサイズの曲長を長く設定するなど工夫しないと、ラップ曲の良さが削がれてしまうことになりかねないし、依頼を受けるラッパーも困惑しかねない。

背景にリリック(歌詞)が表示

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ライブイベントの際に後ろの大型モニターに表示したリリックや、youtubeのPV動画のリリックを流用しているものと思われる。
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明度は変更できるが、白や黄色が全面に表示されるものもあり、曲によって明るさが全然違う。スコア狙いの場合ムービーは切ったほうが良いだろう。

他のノーツがカーブする?スクラッチノーツ

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緑色のロングノーツ、これがスクラッチノーツである。以後緑ノーツと呼ばせていただく。
この緑ノーツのスライド分だけ譜面が移動(盤面が回転)する仕様になっている。
緑ノーツを見逃しても譜面は動くため、ノーツに合わせて移動すると言った方が正しい。

直感で判断する音ゲーにおいて初見で対応するのは難しい。押したはずなのに直前で横移動するためスカりmiss判定なるのでかなりのストレスになる。

よくあるリズムゲーよりもハイスピード設定を少し下げ、緑ノーツが来たら他のノーツがどう移動するか予測し叩くのが良いだろう。その際、緑ノーツ以外のノート(フィールド)が移動することに気を付けておこう。

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例えば上画像の1番目は、左のノーツが2マス左にずれるので、今叩いている箇所から1マス左を叩く
2番目は、左のノーツが右に2マスずれるので今叩いている箇所から2マス右を叩く
といったように、相対的にタップ位置を覚えておくと楽だ。
画像で紹介したのはセンセンフコク[EXPERT]譜面だ。フルコン埋めをしていると確実にこの曲が最後まで残ってしまうだろう。
www.youtube.com

多用される三連符

ラップでは3連符のリズムが多用される。

2等分すべき音の長さを3等分した音符。2分音符を3つに分けた2拍3連音符、4分音符を分けた1拍3連音符などがある。
(三連符:Weblio辞書より)

込めて詰めて貯めて冷めた目で韻を乱射
(ベイサイド・スモーキングブルース より )

|こめて|つめて|ためて|さめた|め で|いんを|らんしゃ
youtu.be
上の動画の様なリズムが3連符だ。音ゲーによっては全く存在しない場合もある。去年色んな音ゲーで3連符のリズムを刻んできたが、今年はこのゲームだけでその回数をすでに越しているレベルだ。

ARBの今後

コンテンツ量が不安だ。システムは月に1~2回ペースで徐々に改善しつつある。このゲームにお金と時間を費やしても得られるものが少なければ、音源やグッズ、ライブBDを買う方がマシだという考えになってしまう。

まずはシステム改善を望む

システムについては徐々に改善しつつある。(各メニューにヘルプ追加、判定位置、インターフェース、楽曲プレイへのアクセス改善等)
記事冒頭で音ズレがある程度改善されたと言ったが、それ以降に追加された楽曲や譜面でBGMがずれているものがある。7月中盤にSurvival of the Illestのオートプレイ動画を公式アカウントが投稿したが、音がズレすぎていたため再投稿になったことがあり、運営体制を心配してしまう。

やりこみ要素の追加を望む

また、このゲームにはやりこみ要素が不足している。他ユーザーから見えるのはプレイヤーレベルとリーダーキャラぐらいしか無い状態だ。熱狂的なファンなら、アプリ内で自身の「推し」を表現したいはずだ。

  • ランキング要素(イベント、スコア順位(フレンド内含む))
  • キャラ別親密度
  • 楽曲、譜面別プレイ回数楽曲クリア回数はアニメ放送前に実装されました。

といった他のゲームでは当たり前のように実装されている要素が無い。ス〇フェス、デ〇ステ先輩の功績は大きい…
報酬ありイベントはあるものの、ランキングイベントは未実装だ。曲の長さにムラがあるため、実装するなら何かしらの工夫が欲しい所である。

ストーリー:カード別ストーリーは未実装

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メインストーリーはフルボイス+ラップパートで動画付き。イベントシナリオは簡易的なボイスが実装されている。しかし上位レアに実装されるべきカード別ストーリーは現在未実装となっており、ガチャでSR,SSR等を入手しても絵を眺める程度しか楽しみが無い。収録もしくは実装時点で止まっているのだろう。
追加されたシナリオから新たな設定が出るのであれば、それを見て考察したいファンがガチャを引くことが期待できる。早急に実装してほしい。

コミックやドラマCDパートでヒプマイの細部設定が色々と明らかになっている。アプリ内のストーリーはまだその核心に迫るものでは無い。リリースが遅れ、展開に時間差があることも影響しているだろう。シリアスな話は少なく日常パートが多い。

各ディビジョンの新たな一面が見れるものであってほしい。

秋にはアニメが放送。楽曲追加?

既にコミック化や舞台化等メディア展開はかなり進んでいるが、アニメが2020年10月(6月から延期になった)に放送された。
『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』Rhyme Anima オフィシャルサイト

原作ファンも困惑する展開に、ニコニコ動画でもかなり盛り上がりを見せた。アニメ視聴をきっかけにゲームを始めるユーザーの増加が期待できそうだ。
現時点でアニメ関連楽曲は追加されていないが、各話に必ず楽曲が流れる構成になっていたため、どんどん追加されて欲しい。

ゴヤ、オオサカディビジョンが追加

本流であるヒプマイプロジェクトには、2019年秋ごろに新たにナゴヤ、オオサカディビジョンが追加された。サービス初期はイケブクロ、ヨコハマ、シブヤ、シンジュクの4ディビジョンのみ登場していたが、アニメ放送前にオオサカ、ナゴヤディビジョンが追加。(2020.12追記)

終わりに

運営が不安定な音ゲーをいくつか見てきたことがあり、このゲームがいつまで続くのか注目している。
豪華アーティストを起用したラップ曲、複数パート収録等他の音ゲーには真似できない要素を持っているが、後続するプロジェクトに同様の楽曲や音ゲーを出されたら負けかねない。

ファンが非常に多く、ゲーム公式twitterアカウントのフォロワー数が44万、何かしら呟くと数千RTされるという規模で、要望もかなり寄せられている。ファンの期待に応える運営をしてほしい。
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余談

現状ではARBよりもヒプマイ自体やラップバトルを掘り下げていくのが楽しい。ドラマCD音源、ライブBDは一切購入せず、オオサカナゴヤ除く4ディビジョンのみに絞って楽曲とコミック(簓とか空却とか…は出演してますが)を履修したので、自分なりの見解や感想を別記事で書いてみたい。あとは、ラップ曲を短くすることが難しいので音ゲー向きではないと自分は思っている。その点も言及したい。